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手強い相手と前田君
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先週の話ですが、
渋谷で久し振りに会う後輩とお茶をしていた時の事。

お互いの近況などを楽しく話してる時に
後輩の携帯電話が鳴った。

相手はどうやら彼女のようだ。



その時彼女も渋谷に来ていたらしく、
『スミマセン、ここに呼んでもいいですか?』
と彼が言うので僕は

『全然いいよ、呼びなよ』 と笑顔で答えた。


それから数分後にお店に彼女がやって来た。
以前から彼女の話は聞いていたが会うのは初めてだった。

『はじめまして』とお互いに挨拶した後に、彼女が僕の顔を見て言った。


『高校の友達の前田君にソックリ!』


なんともリアクションしずらい事を言う女の子である。

なにせその前田君を知らないのだから。
前田君だって知らない僕と似ていると言われて困るだろう。
でも前田君が悪い訳じゃない。
どちらかと言えば前田君はいい子のはずだ。
前田君はイメージ的に走るのが速そう。
前田君は運動神経がいいのだろう。
きっと前田君は皆の人気者。
だから彼女の記憶にも残っているんだ。
前田君はもっと自信を持つべきだ。
頑張れ前田君!
だって前田君は前田君なのだから・・・・・。







前田君の話はもういい。


話を戻そう。

『前田君に似ている』と言われて確かに困ったが、
それと同時に “これは試されているのかも?” と思った。
もしそうであるとすれば『あっ、そうなんだ』などという
しらけた反応では彼女の期待に応えられない。
これは初対面の僕に彼女からの「面白い返事を期待してまっせダンナ!」
というメッセージなのかもしれないと。

僕は瞬時に頭をフル回転させ言葉のパズルを組み合わせた。
そして僕はこう答えた。










『高校の卒業式以来だね』










そうである。
前田君になってみたのである。

すると彼女はクスッとだけ笑った。
ややウケ。

座布団は貰えなかった。
それからしばらく三人で話をして過ごした。
彼女がお手洗いで席を立った時、後輩に聞いてみた。

『さっきのあまり面白くなかったか?』

すると後輩は笑いながら

『いえ、俺は好きですよ』 と言ってくれた。
後輩に気を使わせている偽前田。

帰り際に彼女が僕に言った。

『今度会った時にもう一度同じ事を言いますからね!』


宿題を貰ってしまった。
かなりのプレッシャーである。

二人と別れた後に急いで後輩にメール送信。

【彼女に言っておきなさい。
お兄さんは芸人じゃないんだからいつも面白い事ばかり言えません、と】


とんだ所で強敵に会ったものである。
出来れば会いたくない人が一人増えた。

前田君、君ならどうする?
by cultstar | 2005-11-25 02:30 | 笑った男
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